影武者徳川家康~隆 慶一郎

読書で人生をリライト

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隆慶一郎氏との、遅すぎた出会い

ボクが隆慶一郎氏の大作「影武者徳川家康」を知ったのは、今から10年以上も前のこと。

職場の同僚が話している内容を耳にし、興味を持ったのでした。

それまで小説といえば、推理小説(宮部みゆきや、東野圭吾、乃南アサ)かSF(小松左京、星新一、筒井康隆)を愛読してきました。時代小説は、昔々読んだ司馬遼太郎ぐらい。

別に毛嫌いしていたのではなく、そこになかったから読まなかった、程度のことでした。

徳川家康が、歴史上のどこかでまったくの別人と入れ替わった、という話は、隆慶一郎の完全な創作ではなく、史実に対する異論として明治のころから言い出されていたようなんですが、このフィクションに命を与えたのが「影武者徳川家康」という小説です。

家康の天下取りである関ヶ原の戦いで、本物の家康は刺客の手にかかり死亡、しかし、その事実が家康方の東軍や光成方の西軍に知れると、東軍の戦意はがた落ち、家康に忠誠を誓った諸大名も寝返る。勝敗はおのずと西軍の勝ちと決してしまう。

そこで、徳川四将のひとり、本多忠勝は、家康の影武者であった「世良田二郎三郎元信」を本陣に据え、関が原を戦った。

そして、関が原以降も、二郎三郎が家康の代わりに諸大名に睨みを利かせ、江戸幕府を作り上げていく。

その中で、影武者である二郎三郎は、自分を守り、自由に暮らす人たちの楽園である公界をつくるために奮闘する。

敵は、家康の三男秀忠とその配下の柳生忍軍。

二郎三郎を取り巻くたくましい男たちや多くの女性たちの姿もリアリティたっぷりに描かれ、わくわくドキドキしながら、読んでしまいました。

文庫本で一冊500ページ以上の、上・中・下3巻。

あまりに面白かったので、他の隆慶一郎作品も次々と読んでしまいました。

ですが、残念なことに隆氏は1989年、65歳の若さでこの世を去ってしまっていたのです。

絶筆となったのは佐賀藩の武士の心得を書いた「葉隠れ」を主題にした「死ぬことと見つけたり」。

生きておられたら、もっともっとボクたちをワクワクドキドキさせてくれる物語を生み出していてくれたのでしょう。

作品の紹介

影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈中〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈下〉 (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり〈下〉 (新潮文庫)

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